CBSの日本特集を見て、バブルの絶頂期でも、米国での日本人の存在感のなさを旅行哲学する(1989/02/20)

【Hotel Carver(1998)】
1989年2月19日に、CBSで日本特集が始まった。
これがCBSの「ジャパンウィーク」で、日本からの生中継や日本紹介、インタビューなどが放送された。

確か最初の日(これは確実ではないが)に、ソニーの盛田昭夫のインタビューがあったと思う。
盛田昭夫は米国財界人との付き合いも豊富で、確か、ニューヨークにも長く住んでいたはずだ。

彼の活動を「Newsweek」が大きく取り上げていた記憶がある。
彼の講演活動も、もちろん海外では、英語で話をしていたはず。

僕は最初の世界一周旅行中に、「Made in Japan」という英語の本を読んだことがある。
ただもちろん共著なので、英語にはかなり手が入ってはいたと思うけれどね。

Made in Japan / Akio Morita, Edwin M. Reingold, Mitsuko Shimomura
その本の推薦文に「Very Readable」とあったように、とても読みやすかった。
基本的には日本人が書いた英語なので、日本人には読みやすく、すらすら読めます。

CBSでは、盛田昭夫の英語のインタビューがあった。
また、別の日には、高坂正堯慶大教授のインタビューもあったよ。

ところで英語を語る人が、注意すべきこと。
他の日本人の英語の能力を判断する場合、英語能力は実力の半分くらいに見えるものだ。

逆に言うと、自分の英語能力は実力よりも倍くらいに考えている。
「発音が日本風になまってるなー」などと、他人の発音を判断するようではダメダメ。

自分の英語を録音して聞き返してみると、二度と聞きたくないほどひどいからね(涙)。
だから、自信を失いたくない人は、自分の英語は聞かないほうがいいよ。

僕がこのとき理解したのは、インタビューされている日本人の英語が論理的ではないところ。
僕は東欧が次々と民主化されていたとき、1989年の冬には、中南米一周を終えて、またホテル加宝に泊まっていた。

このときに東ヨーロッパから亡命してきた学者たちが、テレビの特集番組などで、東欧民主化を論じていた。
彼らの英語はもちろん、かなりひどい東ヨーロッパ訛りだった。

ただ、話す文章が論理的で、一つの文章が長かった。
だから、話しているのが知的な人だということは、誰にも理解できた。

それで、日本人が英語を論理的につなげて話すのは難しいとわかったんだ。
つまりそれは、言語の構造が違うからだろうね。

日本人を振り返ってみると、普段から論理的な話はしないよね。
日本人の話は、自分で何も考えずに、ただ他の人と同じことを話して、むやみに同意するだけだ。

論理的な長文を話せないと、米国では知的だとは思われないかもしれない。
まあそれは、東ヨーロッパ出身の学者と日本の学者の英語を聞き比べた僕の印象だけれど。

ただ、大前研一のインタビューは、アクセントは日本風だったが、さすがに理論的だった。
大前研一は奥さんが外国人なので、日常的に英語を使っているのだろう。

CBS日本特集のインタビューにも全体的に新しいところはなかった。
大葬の礼へ向けての、おざなりな特集だと感じた。

でも日本人というものは、常に自分が人からどう見られているかを気にしている。
だから、米国のCBSで日本特集があれば、無理しても見てしまうよね。

僕が興味深かったのが、赤坂の「駒忠」という飲み屋からの中継だった。
日本人の一般大衆代表として、サラリーマンとOLを3人くらい集めて、英語で話を聞いた。

ところが真ん中に座っていたサラリーマンが、完全に酔っ払っていた。
関係のないところで、「I like America!」などと、大声で叫んだ。

ひどい日本人を出したなーと、ホテル加宝のロビーで言い合ったものだ。
ただ、あとになって考えると、アレは「米国人が考える、典型的な日本のサラリーマン」じゃないかな。

普段は大人しくて何を考えているかわからないが、お酒を飲むとわけのわからないことを言う。
すると、わざわざ彼を選んだことになるが…。

CBSがわざわざ彼をキャスティングしたならたいしたものだ。
しかし、こんな酔っ払いを適当に選んだとしたら、それもすごいね。

アメリカのクイズショーに日本人が出てくることはほとんどない。
普通の日本人をテレビに出しても、大人しすぎて全く面白くないからだろう。

たまにテレビに出る日本人は、必ず変な英語の発音で、わけのわからないリアクションをする人を選んでいるよ。
日本人はいくら日本から離れようと考えても、外国人は日本人だとしか見てくれない。

だから、海外生活の長い日本人ほど、日本人らしさを敢えて売り物にする。
普通の話の面白くない日本人なんかと、米国人はわざわざ付き合おうなんて思わないんだよ。

付き合おうとするならば、ニンジャの格好をしているとか、頭にちょんまげがあるとかね。
そういう誰が見ても日本人とわかるような日本人ならば、外人の友達も出来やすいだろうが…。

ところで、英語の発音の話になるが、日本の女の子は本当に米国風の発音が出来るようになる。
これは、女性の脳の構造がそうなってるんだろうね。

日本の女の子は外国人男性とすぐに同棲したりするから、そのせいもあるのだろう。
でも日本人男性は、英語国の女性と結婚していても、英語から日本訛りは取れないけどね。

日本のバブルの最盛期で、ロサンジェルスの高層ビルの70パーセントを日系企業が買ってしまっていた。
そのころでも、日本人は、米国のテレビでは、かなり馬鹿にされていたんだよ。

今は…。
おそらく無視されているんじゃないかな(笑)。

http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20080708