『英語をペラペラしゃべるためには、英文法よりも単語力が大事』
最近、英文法にまた興味を持つようになった。
もちろん英文法そのものではなくて、日本の英語教育の中の、英文法の位置づけということだけどね。

日本人は海外の語学学校へ行っても、必ず試験ではいい点数を取る。
特に英文法は強い。

だから日本人は、語学学校でもレベルの高いクラスに入れられてしまう。
が、英語をほとんど話さない(話せない)ので、だいたいは下のレベルに移動していく。

それに、レベルの高いクラスで学ぶ英文法は、日本ですでにやってるからね。
日本人は英文法を勉強する必要はなくて、逆に英文法が害を及ぼしているのではないかな(笑)。

僕はロンドンの語学学校でケンブリッジ英検特級(CPE)受験の特別クラスにいたことがある。
そのクラスでも、なにか文法の問題があると、日本人の僕に説明を求めてきたからね(笑)。

日本人の英文法は、「英文法のための英文法」だ。
英語で話をするときの役にも立たず、かえって害になっている。

普通の日本人が英語を学ぶのは、英語をペラペラ話したいというのが一番大きな理由ではないかな。
英文法の細かいところを覚えて、他人の発言を文法的にチェックしようなどという人間はいない。

ところが、どこをどう間違ったのか、英文法を無駄に勉強する人たちがいる。
言っておくが、英文法をいくら学んでも、英語はペラペラしゃべれない。

英文法はペラペラ英語を話すには、害にしかならない。
文法的に正しいかどうか考えていくと、言いたいことが何も話せなくなるよ。

僕がロンドンにいたとき、クラプハムジャンクションのハルバート婦人の家に下宿をしていた。
常に3〜4人の下宿生がいたものだ。

僕が行った時、ギリシアからの若者が下宿していた。
彼は英語をペラペラ話して、ロンドンのナイトライフも楽しんでいた。

ある時、彼から宿題のエッセイをチェックするように頼まれた。
しかし、彼が書いたエッセイを見たら、なんと、BE動詞がなかったよ。

I'm working hard.と書くべきところを、彼はI working hard.と書いていた。
これだけではなくすべての文章を、BE動詞のない〜ingで文章を作ってたんだ!

I coming from Greece. Studying English. drinking beer every evening with friends.
みたいな、be動詞のない文章ね(もちろんそのほかの間違いも多かった)。

彼がエッセイを見せてくれるまで、僕は「このギリシア人は英語ペラペラだなー」と思ってたよ。
彼の英語は、動詞が欠落した欠陥品だったわけだが、全く問題なく、立派に通用していた。

また、世界旅行者協会の女の子がイタリアを一人旅したとき、イタリア男にナンパされた。
その男は、すべての英語を、Do you〜で始めていたという。

つまり、このイタリア人は、疑問文の形しか知らなかったようだ。
それでも堂々と、女性を口説いていたというのだからたいしたものだ。

日本でも、身の回りに、もし文法的に正しい日本語をペラペラしゃべる人がいたら気持ち悪いよね。
もちろん、常に文法的に正しい日本語を話すなんて、そんな日本人はいない。

僕たちの日常を振り返ればわかるが、ほとんどは単語を並べているだけじゃないかな。
ペラペラしゃべるとは、情報の断片を相手に与えているということ。

ある状況の中で、単語さえ伝われば、相手はそれを自分の中で再構成して理解する。
しゃべる人の言葉が、文法的に正しくある必要はない。

インターネットの英語相談掲示板を読むと、日本人が英語が出来ない理由がはっきりとわかってきた。
それは、英文法をオタク的に考えているところだ。

「ペラペラ話すためには英文法を理解しなければならない」というのが日本人の常識。
でも、単語を適当に並べて話せば、ほとんどの場合は、意思は通じるものだ。

だって僕たちの日本語を思い返せばすぐわかるが、一日のうち、ちゃんとした日本語を話すことなんかないでしょう。
たいていは、「いくら?」「箸をつけますか?」「袋はいいです」程度でしょ(僕のコンビニでの会話)。

これを英語にすれば、「How much?」「chopsticks?」「no bag」となるかな。
結局この程度の日本語しか話してないんだよ。

モノの名前としての名詞は大切だね。
名前を知らなければ、そのモノをジェスチャーで表現しなければならないから。

また、動きを表す動詞も大切だ。
でも動詞と名詞を知っていれば、例えば「お金頂戴!(give money)」と言える。

誰が誰にお金を上げるのかは、そのときの雰囲気でわかるものだ。
つまり、英語で一番大切なのは、文法よりも単語だということ。

主語と動詞さえわかれば、話し手の意思は通じるもの。
ペラペラしゃべるためには、文法がどうだこうだ言わずに、単語を覚えて、適当に並べればそれでいいんだよ。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20090621