『知っている言葉だけを話すようにすれば、いつもすらすら英語が出てくるもの』

【世界旅行者は韓国人の若者と、靖国問題を英語で議論する@anjuna/goa/india(2005)】
日本人が英語を話すときの問題点は、日本語を英語に直そうとするところだ。
普通の日本人は、英語を話すときに、まず日本語を頭に浮かべて、それを英語にしようとする。

頭の中でいちいち英作文をしているわけだ。
でもそれでは一生英語はしゃべれない。

英語は、日本語を通さずに、英語で考えてしゃべるべきだ。
逆に言うと、知らない英語を使わずに、知っている英語だけを使えばいい。

そうすると、とても簡単になる。
例えば、僕が最初にトルコを旅したとき、トルコ語3つで旅をしていた。

それは、「ギュナイデュン(おはよう)」「テシュックリデリム(ありがとう)」「ベンジャポノム(僕は日本人です)」の3つだ。

これは1988年、そのころのイスタンブールの日本人宿「エリットホテル」で、そこにいた中学生に習ったもの。

トルコ語表現を3つしか知らないので、旅をするのは、とても簡単だった。
まず誰かに会うとき、ホテルへ入ったとき、「ギュナイデュン」と言う。

レストランでもホテルでも、何かしてもらったら、「テシュックリデリム」と言う。
最初のトルコ旅行の時代は、地方に行くと日本人が珍しかったので、自分から「ベンジャポノム」と説明する。

これで、問題なく旅が出来たものだ。
もちろん、観光地では英語が通じるし、イスタンブールでは日本語も通じる。

3個の表現以外は、基本的には、英語を使った。
この経験でもわかるように、表現を3つしか知らなければ、とてもスムーズに会話できる。

例えば、トルコ語で「こんばんわ」と言いたくても、そんな言葉は知らない。
だから、「おはよう(ギュナイデュン)」と言うか、英語で「Good Evening!」というか、日本語で「こんばんわー」と言うしかない。

つまり、言葉に迷うことがなく、すらすらとしゃべれるわけだね。
海外旅行で英語をしゃべる時は、もっと簡単だ。

英語で知っている表現、単語があれば、それを使う。
もし英語が浮かばなければ、日本語でしゃべる。

これで、海外旅行の会話は、スムーズに流れる。
普通の会話というものはスムーズに流れさえすればいいので、特に中身は重要ではない。

ホテルに入っていって「部屋はありますか?」と聞くときは、「Do you have a room?」と言えばいい。
この表現が浮かばなかったら、「ルーム?」と言って自分を指差せば、「部屋が欲しいんだな」と理解してくれるだろう。

「ルーム」が思いつかなかったら、「ベッド」と言ってもいい。
それも思い浮かばなかったら、「寝るジェスチャー」をすればいい。

これは僕が中国東北地方を旅したとき、哈爾賓駅前の「龍門大厦(Longmen Hotel)」に泊まった時のことだけどね。
あと、英語も日本語も通じないところもあるので、そういう時は日本語をしゃべりながらジェスチャーで通せばいいでしょう。

英語がある程度通じるところでは、部屋の料金を聞くときは、「ハウマッチ?」でいい。
相手の答が聞き取れない時は、ノートを出して、数字で書いてもらう。

こうすれば、ホテル料金の誤解もなくなるので、言葉で交渉するよりもずっといい。
実際、海外旅行で話すことはほとんどが決まりきっている。

だから、言葉を話さなくても、互いの意思は通じるものだ。
逆に言うと、言葉を使わずに、旅が出来るようになって、旅がわかってきたと言えるかもしれません。

旅先で、外国人旅行者と出会って話をするときも、普通は英語が共通語になる。
このときも、旅行者同士が話す内容は、決まりきっている。

「どこからきた(出身)?」「どこへ行く(旅行計画)」程度のことだ。
あとは英語が浮かばなかったら、適当な言葉を並べていれば、会話は成立する。

例えば、フランス人と出会ったら「アイライクパリス」「エスカルゴ」「シャンゼリゼー」「ワイン」などと、単語を並べていれば、スムーズな関係が成立するもの。
フランス人やイタリア人旅行者は、それほど英語が話せないもの。

だから、互いにたどたどしい英語をしゃべってニコニコしていたら、いい関係が成り立つ。
普通は、旅先で出会った旅行者同士が、政治や経済を議論することはない。

僕はもちろん、何でも語ることは出来るが、それは海外旅行の英語とはまた違うものだ。
海外旅行で英語をしゃべるのは、知っている英単語を並べていれば、特に問題ないという話でした。

特に、入国審査の時など、あまり英語をしゃべりすぎると、日本人ではないと疑われることがある。
だから、英語はしゃべらない方がいい。

変に難しいことをしゃべるような人間は、どこでもあんまり歓迎されない。
だから、英語をペラペラと話せても、わざとたどたどしくするという高度なテクニックもある。

だから、海外旅行に出て、気張って英語をしゃべろうとする気持ち自体が間違っている。
海外旅行では、ニコニコしながら、自分の知っているだけの、わかりやすい言葉をしゃべれば十分です。
http://d.hatena.ne.jp/worldtraveller/20090602